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TCFD提言への賛同

当社グループは、2022年11月にTCFD提言への賛同の表明を行いました。気候変動問題への取り組みは企業の存続、成長に不可欠な要因であるという認識のもと、TCFDの枠組みに基づき、関連する情報開示を拡充させていきます。2023年度の初回情報開示を皮切りに、2024年度には対象グループ企業範囲を拡大したほか、重要なリスクと機会の特定プロセスや、削減目標を開示しました。

2025年度においては、サステナビリティ委員会の実施状況、重要なリスクと機会が発生すると見込む時間軸などについて、新たに開示しました。

ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ委員会を設置し、気候変動を含むサステナビリティ課題への対応を協議・決定しています。当委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員には委員長が指名する取締役、執行役員、各事業会社取締役など、適切と認められるメンバーにより構成され、原則年2回以上開催することとしています。委員会で審議された気候変動対応に関わる重要な議案については、「サステナビリティ委員会規定」のもと、取締役会に年1回以上の報告を行い、監督を受けることとしています。また、委員会の運営を補助することを目的に「サステナビリティ委員会事務局」を設置しています。当事務局では、方針や施策などの策定、各事業会社・各部門との戦略の整合性などを審議・検討し、委員会に上程しています。

なお、当委員会と取締役会においては、気候変動を含むサステナビリティ課題について協議・決定・監督を行うための適切なスキル・コンピテンシーを備えるため、外部講師を招いた勉強会を実施しています。

気候変動に関するガバナンス体制
サステナビリティ委員会 体制図
気候変動関連のサステナビリティ委員会開催実績(2025年度)
開催月 議題
3月
  • 2024年12月期活動状況モニタリング(温室効果ガス削減取り組み状況など)
  • 2025年12月期マテリアリティごとの活動方針
10月
  • 2025年12月期 上期活動状況モニタリング(温室効果ガス削減取り組み状況など)
  • 委員向け勉強会(確定版SSBJ基準の概要および第三者保証への対応)

戦略

Ⅰ.リスクと機会の特定・評価プロセス

当社グループでは、気候変動によるリスクと機会を、以下のプロセスで特定・評価しています。

①リスクと機会の洗い出し
気候変動によるリスクと機会について、当社に関連する項目の洗い出し・抽出

②リスクと機会の特定
抽出したリスクと機会について、複数の評価軸(影響の大きさ、影響を受ける期間、関連する事業の範囲)を用いて定性的に重要度を評価し、当社事業にとって、より重要度が高いと考えられるリスクと機会を特定

③事業への影響評価
特定したリスクと機会について、シナリオ分析を用いて2030年に当社事業に及ぼす財務影響を試算し、営業利益に対する影響の大きさを評価

Ⅱ.シナリオ分析

Ⅰ-③に記載のとおり、特定されたリスクと機会が2030年時点で当社事業に及ぼす財務影響を試算するため、シナリオ分析を実施しています。

使用シナリオ 移行リスク関連シナリオ
・IEA「World Energy Outlook 2023」におけるNZE2050、APS、STEPSシナリオ
物理リスク関連シナリオ
・IPCC「AR6」におけるSSP1-1.9(1.5℃シナリオ)、SSP1-2.6(2℃シナリオ)、 SSP5-8.5(4℃シナリオ)
※ その他日本国内の各省庁が発表している報告書なども使用
想定した世界観 2100年における世界の気温上昇が1.5℃上昇、2℃上昇、4℃上昇の世界観
対象範囲 ユニソルホールディングス株式会社、国内連結子会社

Ⅲ. 特定したリスクと機会

Ⅰ・Ⅱにより特定したリスク10項目、機会4項目は以下の通りです。

リスク・機会 シナリオ 種類 発生要因 内容 時間軸※1 2030年における財務影響※2
移行リスク 1.5℃/2℃ 政策・規制 温室効果ガス排出の価格付け進行 炭素税等のGHG排出量の価格付けが進むことにより、仕入コストや電力などのエネルギーコストが増加する 中~長
情報開示義務の拡大 情報開示すべき情報範囲の拡大に伴う、社内管理体制の構築およびデータインフラ整備などにより、対応コストが増加する 短~中
技術 既存製品・サービスの低炭素オプションへの置換 自社製品の環境性能やそれに関する保有技術が他社と比べて劣後することで競争力が落ち、売上が減少する 中~長
市場 消費者行動の変化 環境性能の面で劣後する商品・サービスの売上が減少する 中~長
EVへの切替の進展により、内燃機関関連の金属加工部品と機械工具の需要が減少し、売上が減少する 中~長
企業としての環境対応が不十分とみなされると、販売先から選別され、事業全体の売上が減少する 中~長
評判 当該セクターへの批判
ステークホルダーの不安増大
気候変動対応の遅れや、投資家との環境対応に関する情報の非対称性により企業価値が低下する 中~長
物理的リスク 4℃ 急性 台風や洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇 台風や洪水などによる自社およびサプライヤーの被災が増加し、復旧コストの増加、機会損失による売上の減少が生じる 短~長
慢性 平均気温の上昇 空調稼働に必要な電力量の増加により、エネルギーコストが増加する 短~長
夏季に製造に携わる従業員を中心として、熱中症等の健康リスクが増大し、生産性が低下したり、対策としての設備投資コストが増加したりする 短~長
機会 1.5℃/2℃ 製品・サービス 低炭素商品・サービスの需要拡大
消費者の好みの変化
エネルギー使用時の低・脱炭素化や低コスト化ニーズの高まりに伴い、環境配慮商品の需要が増加し、売上が増加する 短~長
EVへの切替の進展に伴い、関連市場が成長し、売上が増加する 短~長
4℃ 製品・サービス 降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動、異常気象の重大性と頻度の上昇 自然災害の増加や激甚化に対するレジリエンス向上に貢献する
防災・減災・復旧・復興関連製商品の売上が増加する
短~長
平均気温の上昇など厳しい条件下での安定稼働に貢献する省力化関連商品の売上が増加する 短~長

※1時間軸の定義については、現在、当社グループでは2022年から10年後である2032年のありたい姿を定めたうえで、その前半期間にあたる中期経営計画(2022-2026年)を推進しています。リスク・機会が顕在化しうる時間軸の評価においても、この経営戦略上の時間軸に一致させて実施しています。具体的には、長期の時間軸を10年とし、それぞれ会計期間・中期経営期間に合わせて、短期・中期の時間軸を設定しています。
  短期…1年。会計報告期間に基づき設定。
  中期…2~5年。進行中の中期経営計画期間に基づき設定。
  長期…6~10年。中期経営計画の目指す「10年後のありたい姿」に基づき設定。

※2財務影響については、当社グループでは、営業利益を財務影響の指標とし、営業利益に対する影響の大きさをそれぞれ「大(5%以上)」「中(1%以上5%未満)」「小(1%未満)」の3段階で評価しています。

Ⅳ.気候レジリエンスの維持・向上

Ⅲで記載の通り、当社グループでは特定した気候変動によるリスクおよび機会について、事業活動に対するさまざまな影響を想定しています。こうした気候関連の変化・進展・不確実性に対応する能力としての「気候レジリエンス」を維持・向上することで、特定したリスクによる財務影響を最小化するとともに、機会による財務影響を最大化するため、当社グループでは以下の通り対応策を設定しています。

維持・向上させる
気候レジリエンス
分類 対応策 具体的内容
低炭素経済への移行(規制の強化、ステークホルダーの意識変化など)に対するレジリエンス 機会の最大化 サプライチェーンにおける協働を通じた、商材や梱包資材の脱炭素化 • 省エネ等、顧客の需要をとらえた環境性能の優れた製商品・サービスの開発・探索と提供
• EV車の普及を支える製商品の開発・探索と提供
リスクの最小化 事業活動の脱炭素化の推進 • 主要事業所、工場におけるエネルギー使用量削減(省エネ設備導入・ペーパーレス・社有車のエコカーへの切り替えなど)
• 再生可能エネルギーの使用推進
適切な情報開示と、ステークホルダーとのコミュニケーション強化 • TCFD開示や年次の環境データ、対応策の実施状況などを適切に開示
物理的な気象現象(大雨、気温上昇など)に対するレジリエンス 機会の最大化 物理リスクに対する顧客の対応力向上のための自動化・省力化 • 自動化・省力化関連商品の提案強化
• 防災・減災関連製商品の探索
• 復旧・復興関連製商品の迅速な提供体制の整備
リスクの最小化 事業活動に対する物理リスクへの対処 • 事業継続計画(BCP)の強化など、気候変動による物理的リスクや従業員の健康リスクの低減

リスク管理

特定した気候変動関連リスクについては、サステナビリティ委員会を中心にリスクの回避・軽減・コントロール、機会への早期着手に関する方針の策定や対応策の立案などを実施し、取締役会への報告を行い、監督を受け、全社を通じたリスクマネジメントを行っています。また、対応策の実施状況、およびその効果についてモニタリングを実施しています。
当社グループのリスク全般については、リスク管理委員会(原則年2回開催)を設置し、経営財務への影響を考慮し、リスクの識別・評価を行い、重要リスクの特定・見直しを行っています。気候変動に関わる重要なリスクについても、年1回以上のリスク管理委員会へ報告を行い、全社リスクとの連携を図っています。

指標と目標

当社グループでは、2022年より事業活動におけるCO2排出量(以下、「Scope1、2」)、原材料の調達や販売した製品の使用なども含んだサプライチェーンにおけるCO2排出量(以下、「Scope3」)の把握に取り組み始めました。なお、目標につきましては、2022年を基準年、2030年を目標年とした場合に、SBTi(Science Based Targets initiative)が求める削減水準を踏まえた設定を行っております。

温室効果ガス排出量(Scope1,2)

(単位:t-CO2e)

年度 2022年
(基準年)
2023年 2024年 2025年 2026年(目標) 2030年(目標) 2050年(目標)
Scope1 5,241 5,169 4,996 4,878
Scope2 3,460 3,295 2,650 2,169
合計 8,701 8,464 7,646 7,047 6,856
(基準年比
21.2%削減)
5,012
(基準年比
42.4%削減)
実質ゼロ

注)ユニソルホールディングス(株)、および海外を含む連結子会社(2025年12月時点)を対象としています。

温室効果ガス排出量(Scope3)

(単位:t-CO2e)

2023 2024 2025
カテゴリ1(購入した製品・サービス) 590,227 596,936 553,349

注)1.排出量については、外部より購入した製品及びサービスの金額(税抜)に、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース_ver3.5」に掲載されている「産業連関表 ベースの排出原単位(GLIO:2005年表)」の金額ベースの排出原単位を乗じ、2005年当時の消費税5%を加算することにより算出しております。今後、法改正に伴う参照先及び算定条件等の変更により、GHG排出量が増減する可能性があります。
2.2023年12月期の集計・算定は、ユニソルホールディングス(株)、および直接子会社4社(ユニソル(株)、フルサト工業(株)、(株)マルカ、(株)セキュリティデザイン)を対象としております。
3.2024年12月期および2025年12月期の集計・算定は、ユニソルホールディングス(株)および国内の全ての連結子会社(2025年12月時点)を対象としています。

取り組み事例

当社グループでは、温室効果ガス削減目標の達成にむけた取り組みを進めております。
たとえば、2024年度より稼働を開始しております物流拠点「UNISOL L. C. OSAKA」は、環境に配慮した物流センターです。屋根には太陽光パネルを設置し、事務所棟で使用される全ての電力を太陽光発電にて補うことができ、環境省 ZEB(Net Energy Building ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を取得しています。2025年12月期は年間128.9MWh分の電力を太陽光発電にて補い、CO2の排出量に換算すると53.6t-CO2e分の削減効果がありました。

UNISOL L. C. OSAKA 外観

外部からの評価

企業に環境課題への取り組みに関する情報開示を求める国際的な非営利団体であるCDPが実施する2025年度気候変動質問書において、「Bスコア」の評価を獲得しました。
Bスコアは、8段階のスコアリングのうち、上から3番目に高い評価であり、気候変動に関するリスクと機会を認識し、それらを管理するための具体的な行動を講じている「マネジメントレベル」に相当します。